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私たちが「クローバー」に取り組む理由

私たちはクローバーの活動を2010年の夏に始めました。

その理由は、困っている子どもたちの力になりたい、というとてもシンプルなものでした。

 

私たちがクローバーを始めた前々年、前年頃から、日本でも貧困状態に置かれた人たちが増えているということが、よくニュースなどで取り上げられるようになっていました。リーマンショックと呼ばれた経済不況などによって、「この国では皆がそれなりに豊かな生活を送っている」というイメージが実は現実とは異なっていたことが色々なかたちで目に見えるようになってきたのです。

そんな中、「子どもの貧困」をテーマにしたシンポジウムにちょっとした興味から参加した私たちは大きな衝撃を受けました。部費を払えなくて好きだった野球を辞めざるを得なかった子ども、水道料金の取り立てに対応する時が一番辛いと話す子ども、親が低賃金のため幾つも仕事を掛け持ちしなければならず、宿題を見てくれる人が誰もいないので小学校から勉強がついていけなくなったと話す子ども。私たちは、彼ら彼女らの切実な声を聞きながら、ともかく何かをしなくては、と思いました。

予算も人手も全然なかった私たちでも地域ですぐにでもやれることは何か、それを考えた結果が「勉強をサポートする」ということでした。そうしてクローバーの活動が始まりました。

 

それからさまざまな試行錯誤がありました。やってくる子どもたちが少しずつ増えたり、減ったり、また増えたり。小学生を対象にしていたものが、ある中学3年生がやってきたことをきっかけに高校受験のサポートに本格的に取り組むようになったり。夏のバーベキューやらハロウィンパーティーのイベントが始まったり。ボランティアに来る大学生が少しずつ増えて、社会人ボランティアとの間でさまざまな対話が行われたり。地域の他の団体や区役所、社会福祉協議会との連携が少しずつ深まっていったり。

 

そうした試行錯誤の中で、私たちがクローバーに取り組む理由も少しずつ変化していきました。子どもたちの「困った」は、勉強の遅れだけにあるのではないということを私たちは少しずつ理解していくようになりました。家族のこと、学校のこと、日々の生活のこと、将来のこと、子どもたちはそれら不安や心配、期待や希望を全て抱えて毎日を暮らしています。そこから「勉強」だけを取り出してサポートするというのはちょっと違うかもしれない、そう考えるようになりました。

 

どんな子どもたちも来られる居場所にしたい、そしてこのクローバーという居場所を通じて広い意味での「学ぶ」ということの喜びや大切さを知ってほしい、きっとそうした経験が子どもたちの豊かな未来の土台になっていくはずだ、今私たちはそんなことを願ってこの活動をしています。

子どもサポーターズとしま

学習支援会「クローバー」

元代表 谷口 太規

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